機動警察パトレイバー2 the Movie

監督・原作はあのウンチク王・押井守。
物語は国のために戦って、国に裏切られた元PKO指揮者による自国を相手取った戦争が描かれている。横浜ベイブリッジへの一発のミサイル投下を発端にして、首都東京が架空戦争に巻き込まれていく。情報錯綜、自衛隊首謀者疑惑、米軍介入疑惑、警察上層部の内部抗争・・・
警視庁特車二課隊長の後藤と南雲のもとに自衛隊の荒川と名乗る男が事件の調査を持ちかけてくる。最初は胡散臭い荒川に非協力を決め込んだ後藤だが、この事件の首謀者の第一容疑者が南雲隊長のもと恋人である柘植であることを知り、捜査に乗り出す。

13年前に上映されたこの映画。
横浜ベイブリッジ爆破を見て真っ先に『9．11』のニューヨーク世界貿易センタービル爆破を思い出した。飛行船爆破による着色ガス噴出を見て『地下鉄サリン事件』を彷彿とさせられた。「隊長ー！」と叫びながら自決する自衛官を見て自爆テロを連想した。・・・この映画を見ると、近年世の中を騒がせた事件が全て模倣に見える。この戦争は柘植にとっての聖戦なのだろうか。

「気づいた時には、もう遅すぎる。」

事件と平行して、南雲、後藤、柘植の大人のラブストーリーも切なく進行していく。昔の恋人を捕まえに行く南雲に向かって後藤が───

「しのぶ（南雲）さん・・・刺し違えても、なんてのは御免だよ。彼を逮捕して必ず戻るんだ。・・・俺、待ってるからさ。」


後藤隊長ーーーー！！（涙）

後藤×南雲のカップリングをこよなく愛する私としては納得いかなかった！

いつもながら、観客を煙に巻くような学生運動経験者の押井特有の長台詞も健在。怪しい男・荒川に声をあてているのは竹中直人。ぴったりだった。
映画版パート1でもそうだったが、押井は東京を壊滅させるのが大変お好きなご様子（笑）
あと、この映画は宮崎駿に対する挑戦状な気もする。だって、柘植が宮崎駿にそっくり。子供の目線で非現実を描き続ける宮崎と大人の中のきな臭い現実を破壊的に描く押井。二人が仲悪いとは聞いていたけれども、ここまで両極端だとはね。

アニメだと思って軽い気持ちで見始めると、物語と饒舌な登場人物に置いていかれる。日本の映画であるのに、字幕で見たくなるほどだ。難語、専門用語が盛りだくさんだからだ。

「正義の戦争と非正義の平和、どちらが正しいか・・・」



少なくとも、私は非正義の平和がいい。